クッキーにおける「卵」の役割は?全卵、卵黄、卵白の比較と代用法

 

クッキー生地を作るときに加える卵では、全卵・卵黄・卵白それぞれで仕上がりにどのような違いがあるのでしょうか。

卵を使わないとどうなるのかも気になるところです。

クッキー作り歴20年の店主黒野が、手作りクッキーの卵の使い方についてついてまとめてみました。

この記事を読めば、卵のもつ役割がわかります。

より自分好みのクッキーが作れるようになりますよ。

目次

結論:クッキーには卵黄がおすすめ

(▲「クッキーローラー」で作った花柄クッキー。)

卵黄で作ったクッキー生地は、口溶けがよく味も濃厚で、最も扱いやすい生地と言えます。

はじめてクッキーを作るときや迷ったときは、卵黄をつかうレシピを選ぶと失敗がないでしょう。

また、作りたいクッキーがある場合は以下を参考に卵を使い分けてみましょう。

  • しっとり、柔らかい、濃厚 →卵黄
  • サクサク、風味がよい   →全卵
  • ポリポリ、薄い、あっさり →卵白
  • 固い、ぎゅっとした食感  →卵なし

ここからは、このように変化する卵の役割や性質について詳しく解説していきます。

クッキーにおける卵の役割3つ

味が良くなる

クッキーに卵を入れると、卵のまろやかさが加わり味が濃厚になります。

卵の風味やコクがでて味が良くなります。

食感が良くなる

バターと粉を馴染ませる「生地のつなぎ」の役割をします。

かき混ぜると泡立つ「起泡性」と、水と油を混ぜる「乳化性」の作用で、食感がサクサクとよくなります。 

形を保つ

「熱凝固性」の作用で、熱が加わると形を保ちます 

(▲卵入りの生地はクッキーローラー」で付けた模様も綺麗に保ちます。) 

全卵・卵黄・卵白。どれをどう使う?

クッキーのレシピを見ていると、全卵、卵黄、卵白とさまざまな表記があります。

なぜレシピによって使う卵の状態が違うのでしょうか? 

それは、卵黄と卵白で持っている性質が異なるから

作りたいクッキーの種類によって卵黄と卵白の特性を使い分けると、思い通りの食感や味を作ることができますよ。 

卵黄

卵黄の性質

卵黄は成分中に油脂を含み、卵白に比べ水分が少ないのが特徴。

生地を固くするグルテンが発生しにくく、ホロホロ柔らかく口溶けがいい食感になります。 

また、コクや風味が強くでやすく、焼き色もつきやすくなります。 

焼いたときに生地が膨らみにくく形を保ちやすいので、初心者の方でも綺麗に作りやすく、最も扱いやすいクッキー生地と言えます。

卵黄が向いているクッキー

卵黄を使うクッキーには、アイスボックスクッキー、型抜きクッキー、サブレが向いています。 

卵白

卵白の性質

 卵白はタンパク質が多く含まれているのが特徴です。

そのため熱凝固性が特に強く、かたく丈夫なクッキーに仕上げることができます。

焼き色がつきにくくあっさりした味わいになるため、チョコレートなどでデコレーションするのもおすすめです。 

また、卵白には水分が多く含まれるため、卵黄のクッキーに比べ焼き時間が長くなります。

そのため薄めの生地のクッキーに向いていると言えます。 

卵白が向いているクッキー

卵白を使うクッキーは、絞り出しクッキー、シガレットクッキー、ラングドシャが向いています。 

全卵

全卵の性質

全卵は卵黄と卵白の「いいとこ取り」ができる生地に仕上がります。

卵黄のはたらきで粉・水分・油分の繋がりがよくなり、崩れにくい生地になるだけでなく、味に甘みがでます。 

また卵白のはたらきでやや固くカリッとした歯応えのある食感を楽しむことができます。 

全卵が向いているクッキー

全卵を使うクッキーは、タルトの生地(パートシュクレ)やアイシングクッキーが向いています。  

クッキー作りにはMサイズの卵を使う

卵はサイズごとに重さが異なります。

  • Mサイズ:卵黄 20g、卵白30g
  • Lサイズ:卵黄 20g、卵白40g

上記は卵の中身のだいたいの重さです。

中身の重さを見ると、卵黄の重さはどちらでもほとんど変わらず、卵白の量が異なることがわかります。 

一般的に、お菓子作りではMサイズの卵の使用を想定されているので、レシピで指定がない場合はクッキー作りでもMサイズの卵を使いましょう

レシピに卵のサイズの指定があるのは、シフォンケーキ、ジェノワーズ、ロールケーキなど卵の力で生地を膨らませるものが多いです。

卵の力で生地を膨らませるお菓子は、卵白の量が変わると生地自体の量が変わるので、レシピに記載されている卵のサイズを守りましょう。

ベーキングパウダーの力で生地が膨らむマフィンやパンケーキなどは卵のサイズ指定はない場合がほとんどなので、サイズにこだわる必要はありません。 

卵を加えるときの3つのポイント

クッキー生地を作るときに加える卵。

実は、卵の加え方でクッキーの出来が左右される、といっても過言ではないのです!

筆者の体験をもとに、クッキー生地に卵を加える際に注意したいポイントをご紹介します。

コシを切りながら混ぜる

白身には「コシ」と呼ばれるドロッとしたまとまりがみられます。

このコシをしっかりと切りまぜ、全体の粘度が均一になるようにしましょう。

切り混ぜるときは箸で「Z」を書くようにジグザグに動かしたり、つまみあげるようにするとやりやすくなります。 

卵が泡立つと食感が変わってくるので、なるべく空気を入れないよう、箸をボウルの底につけた状態で行うとよいですよ。 

2~3回に分けて加える

卵は油と混ざりにくく、一度に加えて混ぜると粒がめだつようなモロモロとした状態になることがあります。

これを「分離」した状態と言います。 

分離してしまうと生地同士がうまくなじまず仕上がりに影響が出るため、分離が起こらないように卵は2~3回に分けてすこしずつ加えるとよいですよ。

もし生地が分離してしまったら、作業中のボウルよりひと回り大きいボウルを用意し、そこに湯をはり、作業中のボウルの下に置いて1分前後湯煎します。

油分が温まってゆるむことで水分となじみやすくなり、クリーム状に戻すことができます。

油分が溶けすぎるともう一度かたくすることはできないため、温度と湯煎する時間には気をつけてくださいね。 

分量を守る

使用する卵のグラム数が指定されていると、「ちょっとだけ卵が余る」ということがあります。 

ここでもったいないからと言って、全部加えないことが大切

若干の分量の違いでも仕上がりに差が出ることがあります。

もったいなくてもレシピの卵の分量を守るようにしましょう。

余った量にもよりますが、他の料理やお菓子に使えるよう、取っておけばむムダがありません。  

卵がないときの代用方法2つ

クッキーを作りたいけど、卵がない!

そんなときは、同じ仕上がりにはならないものの、代用品を使うことで完成させることができます。 

牛乳で代用する

卵がない場合、牛乳で代用することが可能です。

レシピより少ない分量を加え、様子を見て少しずつ足して生地の固さを調整します。 

牛乳を使用する場合は、小麦粉のタンパク質によるグルテンが発生しやすくなります。

グルテンが発生すると焼き上がりがかたくなる原因となるため、牛乳を加えたあとは混ぜすぎに気をつけましょう

他の食材で代用する

卵がない場合は水分を多く含む他の食材で代用することも可能です。

代用に使えるおもな食材はこちらです。 

  • バナナ
  • さつまいも
  • にんじん
  • かぼちゃ

いずれもペースト状にして生地に混ぜ込むことにより、水分が調整されて生地をまとめることができます

加えたものによってそれぞれその味を楽しむこともできますよ。 

まとめ

今回はクッキーづくりにおける「卵」の役割についてご紹介しました。 

卵の持つ3つの性質によって、クッキーは味・食感・形よく焼き上げることができます

卵をうまく使いこなして、自分好みのクッキー作りを楽しんでみてくださいね。

当店で販売している「クッキーローラー」を使うと、味だけでなく見た目もかわいいクッキーが焼けますよ。

(▲一番人気の「クッキーローラー マーガレット」)

プレゼントしても喜ばれるクッキーが作れます。

かわいいクッキーが作りたい方はぜひチェックしてください。 

当サイトでは、「おいしい!」と喜ばれるクッキー作りのために、クッキーに特化したコラムを掲載しています。

クッキー作りにぜひ役立ててくださいね。

 

→ ほかのクッキーのコラムを見る

 

ブログに戻る
1 3
1 3